令和2年度産業経済研究委託事業(今後のあるべき租税特別措置の検討に向けた制度調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、今後のあるべき租税特別措置の検討に向けた制度調査事業について書かれた報告書である。令和2年度に株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所が実施した調査研究は、二つの主要な調査を並行して実施している。第一の調査では、法人税および固定資産税・事業所税に係る租税特別措置の制度設計および設立経緯について体系的な整理と分析を行った。1970年度以降の租税特別措置を対象とし、改正税法のすべて、税制改正の解説、税制改正要望、租税特別措置等に係る政策評価などの文献を調査対象とした。調査結果として、措置の件数881件、制定改廃の件数4,182件を収集し、これらの情報をMicrosoft Accessによるデータベース化を実施した。データベースは税目、措置対象、対象行為、措置年数、認定方法などの11項目から検索可能とし、全文検索機能も備えている。第二の調査では、諸外国における新型コロナウィルス感染拡大に伴う経済危機に対する税制措置の調査を実施した。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの4カ国を対象とし、各国政府が講じた経済対策、特に税制措置について体系的に整理し、政策効果の分析と評価を行った。調査対象国の税制とわが国との違いを分析し、今後生じる可能性のある有事における経済対策についての知見蓄積を図った。これらの調査成果は、持続的な経済成長の実現に向けた効果的な税制改正要望の検討や、将来の経済危機に対する政策立案の基礎資料として活用されることが期待される。
