令和2年度グローバル・スタートアップ・エコシステム強化事業(起業家精神に関する調査)報告書

掲載日: 2022年3月29日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局新規事業創造推進室
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報告書概要

この報告は、日本における起業家精神と起業活動の実態について、グローバル・アントルプレナーシップ・モニター(GEM)調査の2020年データを用いて分析した経済産業省委託調査の報告書である。GEM調査は1999年に開始された国際比較研究であり、2020年は日本を含む44カ国が参加した。調査では18歳から64歳までの一般成人2,011人を対象とし、起業活動の水準、事業機会の認識、起業に必要な知識や能力、起業家に対する社会的評価などを調査している。

分析のフレームワークでは、起業活動を「態度」「行動」「意欲」の3つのAで構成される概念として捉え、特に態度と行動に焦点を当てている。総合起業活動指数(TEA)は各国の起業活動の活発さを示す重要な指標であり、起業準備段階の「誕生期」と事業開始後3.5年未満の「乳幼児期」の起業家が成人人口に占める割合で算出される。2020年の日本のTEAは6.5となり、前年の5.4から大幅に上昇した。これは44カ国中で下位に位置するものの、起業態度を持つ人の割合増加とその中でのTEA上昇が要因である。

経済発展段階別の分析では、要素主導型、効率主導型、イノベーション主導型の3つの経済圏に分類し、経済発展の段階が低い方が起業活動の水準は高いという傾向が確認された。主要7カ国の時系列比較では、米国が最も高く、次いでイギリス、日本、ドイツのグループがあり、イタリアが最も低い構造となっている。起業活動を取り巻く環境面では、事業機会の認識、知識・能力・経験の有無、失敗に対する恐れ、起業活動に対する社会的評価などが分析されている。さらに2020年調査では新型コロナウイルス感染症の影響に関する特別調査も実施され、パンデミックが起業活動に与えた影響についても検討されている。