令和2年度省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費(国際ルールインテリジェンスに関する調査(空飛ぶクルマの標準化動向調査 ))調査報告書

掲載日: 2022年3月29日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局産業機械課
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令和2年度省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費(国際ルールインテリジェンスに関する調査(空飛ぶクルマの標準化動向調査 ))調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、空飛ぶクルマの国際標準化動向について調査した報告書である。経済産業省が国土交通省と合同で設立した「空の移動革命に向けた官民協議会」において策定されたロードマップの実現に向けて、国際的な制度整備状況や標準化動向を調査し、国内事業者の技術開発における協調領域や標準化可能な領域を明らかにすることを目的としている。

調査では、ASTM、SAE、EUROCAE、RTCAなどの国際標準化機関におけるeVTOL関連の議論動向を詳細に分析している。特にASTMとEUROCAEがeVTOLの標準化を積極的に推進しており、機体設計、電動推進、バーティポート設計、運航管理システムなど多岐にわたる分野で規格策定が進められている。米国ではASTMを中心とした議論が展開され、欧州ではEUROCAEで一元的な検討が行われている状況が明らかになった。

電気自動車や自動運転車の標準化事例を参考に、空飛ぶクルマにおける標準化戦略を検討している。現状の標準化課題は航空当局の認証基準に対する適合証明方法の規格化が中心であり、ローカルなユースケースやシステム連携に関する標準化は進んでいない。海外における技術開発状況についても調査し、電動推進技術、電源技術、運航管理システムの発展状況を整理している。

標準化活動の進め方として、個々の企業による対応では限界があるため、業界団体やフォーラムによる戦略的な対応が必要であることを提言している。重点分野として、機体、電動推進、電源、給電インフラ、運航管理、安全性の6分野を特定し、特に協調領域に該当するテーマの標準化推進が重要であると結論づけている。日本がEV分野で培った知見を活用し、急速充電規格やバッテリ技術における国際標準化への貢献可能性を示している。