令和2年度電気施設等の保安規制の合理化検討に係る調査(電気工事二法の運用見直しに係る調査)報告書
報告書概要
この報告は、電気工事士法および電気工事業法(電気工事二法)の運用見直しについて書かれた報告書である。電気工事二法は昭和62年の改正以来特段の見直しが行われていないが、近年電気工事由来の事故が殆ど発生せず、電気工事の道具や対象設備の安全性が向上したことから、現行規制と現状の乖離が生じている可能性があるため見直し調査を実施した。
本調査では三つの主要な検討を行った。まず電気工事業者情報の共有化については、平成30年度地方分権改革提案を受けて令和元年12月に閣議決定された方針に基づき、令和4年度中に国と都道府県間で事業者情報を共有する新たな仕組み構築を目指した。四つの共有化方法案を検討し、大容量データ共有サービスを利用した仕組みを採用することとした。
次に電気工事士免状等のプラスチックカード化については、現行の紙製免状の劣化問題を解決するため、都道府県や産業保安監督部への調査を実施した。カードプリンター導入費用や年間必要費用を算出し、実用的な切り替え方法を検討した。
さらに第1種電気工事士の資格取得要件見直しでは、実務経験年数の学歴差(電気工学修了者3年、その他5年)について業界から一律3年への短縮要望があったため妥当性を検証した。昭和62年当時と現在の電気工事内容を比較調査し、技術進歩により作業時間が約34%削減されていることを明らかにした。これにより昭和62年当時5年を要した実務経験が現在では概ね3年で経験可能となり、一律3年とすることの妥当性が確認された。これらの検討は47都道府県との協議会を通じて調整・合意形成を図りながら進められ、現状に適した法規制への改正に向けた基礎資料が整備された。
