令和2年度電気施設等の保安規制の合理化検討に係る調査(電気保安人材の中長期的な確保に関する調査) 調査報告書
報告書概要
この報告は、電気主任技術者の人材不足対策として通信教育による認定校制度の活用について書かれた報告書である。近年の電気事業自由化や規制緩和により電気主任技術者の重要性が増す一方で、少子高齢化や電気工学系学生の減少、認定校の減少により人材供給環境が急速に変化している。このため、認定校を卒業したものの必要単位が不足している者に対する学習機会の拡大策として、通信教育による単位補填の検討が行われた。
令和2年度は前年度調査を基に5校のパイロット校を選定し、実証事業に向けた実施内容とスケジュールを検討した。新型コロナウイルス感染症の影響により認定校でオンライン授業が急速に普及し、これまで困難とされていた通信教育導入への環境が整いつつある状況が明らかとなった。パイロット校では座学科目のオンライン化が進み、リアルタイム型とオンデマンド型の併用により効果的な教育が実現されている。
委員会を設置してオンライン授業の成立性を確認し、制度見直しの必要性について基礎的検討を実施した。電気主任技術者資格に関連する法令や卒業校要件、補完可能科目数要件、卒業後年数要件等の制度的課題を整理し、科目等履修生制度の活用による単位取得促進の可能性を検証した。また、電気保安人材確保の新たな手段として外国人材活用の可能性についても調査を行い、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン、台湾における電気技術者資格制度や業務範囲を詳細に分析した。これらの検討により、通信教育導入による認定校制度の活性化と外国人材活用の両面から電気主任技術者不足解決への道筋を示している。
