令和2年度地域経済産業調査報告書事業活動そのものが私益と公益の双方を満たす取り組みとなっている地域の牽引企業に係る企業リストの作成等調査事業

掲載日: 2022年3月29日
委託元: 経済産業省
担当課室: 東北経済産業局地域経済部製造産業・情報政策課
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令和2年度地域経済産業調査報告書事業活動そのものが私益と公益の双方を満たす取り組みとなっている地域の牽引企業に係る企業リストの作成等調査事業のサムネイル

報告書概要

この報告は、地域経済産業調査報告書として、事業活動が私益と公益の双方を満たす地域牽引企業に関する調査研究について書かれた報告書である。東北経済産業局が実施した本調査は、リーマンショックや東日本大震災、そして新型コロナウイルス感染症という度重なる経済的打撃を受けた東北地域において、地域を牽引する企業が地域全体に裨益する取り組みの実態を明らかにし、今後の経済回復に向けた施策の基礎資料とすることを目的としている。調査は三つの主要テーマで構成されており、第一に特許出願データを用いた地域イノベーション誘引企業の分析、第二にデジタル化推進におけるインセンティブメカニズムの検証、第三に面的裨益効果を持つ企業の事例調査となっている。特許編では、大企業の地域分工場や中核企業が地域企業や大学との共同開発を通じて地域のイノベーション基盤向上に貢献している実態が確認され、アルプスアルパインやトヨタ自動車東日本などの具体的事例が示されている。デジタル編では、シミュレーションソフトメーカーのユーザー企業に対するパラメーター要求が、製造業のセンサー導入やデジタル化推進のインセンティブとなる可能性が検証され、AI技術との連携による効率化の道筋が示されている。面的裨益編では、酒蔵や菓子工場などの観光拠点化、大企業による地域人材育成、キラキラ事業者と呼ばれる地域活性化企業などの事例が分析され、直接的経済効果以外の地域貢献のメカニズムが明らかにされている。報告書は、地域新電力事業やテレワーク・ワーケーション環境整備、関係人口創出などの新たな地域活性化手法についても言及し、民間主導のエコシステム構築の重要性を強調している。最終的に、一企業への支援が面的に地域全体に波及する効果的な施策モデルとして、公的支援による基盤構築と民間主導による継続的アップデート、または完全民間エコシステムへの緩やかな政策介入という二つのアプローチが提案されている。