令和2年度補正産業保安高度化推進事業(電気保安のスマート化・高度化に向けた基礎調査)報告書
報告書概要
この報告は、令和2年度に実施された電気保安のスマート化・高度化に向けた基礎調査について書かれた報告書である。電気保安分野においては、電気設備の経年劣化、保安人材の高齢化・人材不足、再生可能エネルギー事業者の参入による設備の多様化といった産業構造変化に加え、自然災害の激甚化や新型コロナウイルス感染症対策を講じながらの電力安定供給という外部環境変化の課題が生じている。このような状況において、IoT、AI、ドローンなどの新技術を活用したスマート保安技術による電気保安水準の維持向上と生産性向上の両立が強く求められている。本調査では、電気保安の高度化とスマート保安活用状況に関するアンケート調査を実施し、電気事業者等から回答を得た。調査結果では、火力発電分野における巡視点検・監視制御のデジタル化・遠隔化、風力・太陽電池発電設備での予兆検知技術、送配変電分野でのドローンやAI活用などが期待される技術として挙げられた。技術導入における課題として、関係法令・技術基準等の見直しの必要性、費用対効果の不明確さ、導入コストの高さ、サイバーセキュリティ対策の必要性が指摘された。人材面では、デジタル技術に精通した人材の確保、既存資格者の能力向上、新しい技能習得の必要性が課題となった。これらの調査結果を踏まえ、電気保安分野におけるアクションプランが策定され、技術実装の道筋とターゲットイヤーが設定された。また、新技術の妥当性確認の仕組みづくりとして、スマート保安プロモーション委員会の設立が検討されている。
