令和2年度復興・創生期間後に向けた東北のブランド価値向上及び関係人口創出に関する調査事業報告書
報告書概要
この報告は、復興・創生期間後に向けた東北地域のブランド価値向上及び関係人口創出について書かれた報告書である。東日本大震災により大きく減退した東北地域の経済情勢は着実に回復を果たしてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大により回復基調に歯止めがかかり、被災地への関心も低下している状況において、地域の自律的発展に向けた取組が急務となっている。本調査では地域資源と関係人口に着目し、復興・創生期間後の東北地域のあるべき姿を検討している。
素材生産においては、津波被害や原発事故による風評被害により一次産業に大きな影響があったが、塩害に対応した作物栽培や大規模施設園芸への取組、生産者間の相互支援により新たな商流構築や販売チャネルが創出され、生産者と消費者を直接結ぶ関係が生まれた。また地方創生の動きの中で農業のICT化や首都圏企業との連携によるブランド化が進展し、メガ園芸などの大規模化により安定雇用と担い手確保が推進されている。
商品づくりにおいては、既存販路の失失により多くの企業が新たな商品開発に取り組む状況となり、自社の向かうべき姿を見つめ直す機会が創出された。これにより商品を通じて消費者との結びつきが強化され、復興が加速する要因となった。マーケティング支援事業者や投資ファンド、クラウドファンディングなどの支援体制も整備され、地方創生関連交付金により専門人材が移住または関係人口化することで地域の商品・サービスづくりに変化がもたらされている。
