令和2年度新エネルギー等の保安規制高度化事業委託調査(スマート保安技術導入に伴う自家用電気工作物の点検等の在り方検討)報告書
報告書概要
この報告は、自家用電気工作物におけるスマート保安技術導入に向けた制度見直しについて書かれた報告書である。電気保安人材の高齢化と入職者減少により将来的な人材不足が見込まれる中、継続的な保安体制構築のため、令和2年度においてスマート保安技術の導入方策と関連規制の在り方について調査検討を行った。調査対象は外部委託承認制度が適用される需要設備と太陽電池発電設備とし、現在の月次・年次点検における保安管理業務の項目と所要時間の把握、スマート保安技術での代替性について保安法人や管理技術者へのヒアリング調査及び現地調査を実施した。需要設備においては現場での月次点検をセンサー等による遠隔点検に代替することを検討し、第三者認証を活用した「推奨スマート保安キュービクル」の開発方向性を示した。また電気事業法施行規則関連告示に第三者認証取得機械器具使用時の月次点検遠隔化インセンティブを規定することとした。太陽電池発電設備では省力化、遠隔監視による早期発見・即時対応、現地点検の遠隔代替という3つのスマート化方向性を整理した。さらにスマート保安技術普及時に必要な研修カリキュラム案として、実務経験年数を代替する研修への追加内容とセミナー形式の講習項目を検討した。サイバーセキュリティリスクについてはネットワーク構成の整理と脅威の洗い出し、対策案の検討を行い、自家用電気工作物向けサイバーセキュリティガイドラインの項目案を作成した。これらの検討課題について有識者委員による「スマート保安技術導入に伴う自家用電気工作物の点検等の在り方検討WG」を4回開催し議論を重ね、遠隔点検技術の実装により保安コスト削減と設備異常の早期発見による安定供給への貢献が期待されるとした。
