令和2年度休廃止鉱山における坑廃水処理の高度化調査研究事業報告書
報告書概要
この報告は、休廃止鉱山における坑廃水処理の高度化について書かれた報告書である。令和2年度に実施された調査研究事業として、地下水制御技術の調査研究とパッシブトリートメント導入に向けた調査研究という二つの主要な取り組みが行われた。地下水制御技術の調査研究では、旧松尾鉱山を対象として坑内水水質調査を実施し、地下水・地表水流動シミュレーションモデルを用いた効果予測解析が行われている。また、地下水制御による発生源対策のためのガイドライン作成も進められた。パッシブトリートメント導入に向けた調査研究では、人工湿地型、微生物活用型、植物併用型などの複数の処理手法について検討されている。人工湿地型処理では石灰石やPAdeCSを用いた中和処理試験が実施され、室内バッチ試験から実証規模水路試験まで段階的な検証が行われた。さらに製鉄スラグを活用したパッシブトリートメントの検討も含まれている。微生物活用型処理では硫酸還元菌を利用したSRB処理法の実証試験が行われ、処理コストの削減効果が確認されている。これらの研究成果を基に、パッシブトリートメント導入のためのガイドライン策定が進められており、坑廃水処理の効率化と環境負荷軽減を目指した技術開発が総合的に推進されている。
