令和2年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(展示会等のイベント産業の高度化に資する調査委託事業)報告書
報告書概要
この報告は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた展示会等のイベント産業の現状と今後の在り方について書かれた報告書である。令和2年度に実施された商取引・サービス環境の適正化に係る事業として、With/Afterコロナ下における展示会産業の高度化に資する調査が行われた。
調査は令和3年1月から3月まで実施され、プレ調査、ニューノーマルな展示会等のイベント事例調査、有識者ヒアリングおよび先進的な技術・サービス事例調査の3つの項目で構成された。プレ調査では展示場等の会場施設2,106件、イベント主催事業者56件、関係事業者101件を対象としたアンケート調査が実施された。
新型コロナウイルスの影響により、展示会産業は深刻な打撃を受けており、多くのイベントが中止・延期・規模縮小を余儀なくされた。施設をお持ちの方からは予定枠数の10分の1しか埋まっていないという報告もあり、経済的ダメージは甚大である。一方で、デジタル技術を活用した感染症対策や顧客体験価値向上のための取組みが進展し、新たなイベント形態が模索されている。
調査結果から、今後の展示会開催方法についてはリアル・オンラインのハイブリッド開催が望ましいとされた。オンラインの利便性が周知された一方で、リアルでないと感動や一体感を生みにくいセレモニーの重要性も認識されている。特に結婚式や表彰式などは、オンラインのみではニーズを満たしきれないことが明らかとなった。
技術面では通信設備の機能強化や環境構築が必要とされ、終端回線の速度増強やネットワークセグメントの分離などが求められている。また、感染リスクの把握とコントロールの仕方について業界ガイドラインでの一律化が必要である。2025年大阪万博を控える中、展示会産業のさらなる発展を図るためには、新たな生活様式に対応した国内外の事例調査と技術革新が重要である。
