令和2年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(石炭火力と電力系統に係る諸外国の政策動向等に関する調査)最終報告書
報告書概要
この報告は、石炭火力と電力系統に係る諸外国の政策動向について書かれた報告書である。資源の乏しい日本において、再生可能エネルギーの主力電源化を図りつつ多様なエネルギー源をバランスよく活用することが重要であり、石炭火力については安定供給や経済性の面で優れている一方で、CO2排出という環境面での課題に対応する必要があるため、高効率化・次世代化の推進とともに、よりクリーンなガス利用へのシフトと非効率石炭のフェードアウトに取り組むこととされている。
本調査では、脱石炭火力を表明している諸外国の基本的なエネルギー政策やフェードアウトの実現に向けた具体的な政策内容、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた電力系統に係る政策内容について情報収集及び分析を行った。調査対象国として、GDPの規模、石炭火力依存度、新設石炭火力の有無の観点からドイツ、オランダ、英国、フランスの4か国を選定し、各国における石炭火力のフェードアウトに向けたスケジュール、規制措置、誘導措置等について分析を実施した。
調査結果として、石炭依存度の高いドイツでは系統安定性や事業者・地域経済への配慮から2038年までの長期的な廃止スケジュールを設定し、リバースオークションに基づく事業者補償や自治体への補償、従業員への雇用対策など手厚い措置を講じている。一方で、石炭火力依存度が低く残存石炭火力の高経年化が進む英国やフランスでは、CO2排出基準を設定することで短期的な石炭火力のフェードアウトを促している。このように各国は石炭依存度や発電所の稼働年数などの実態に応じた廃止スケジュールや規制措置を導入している。
