令和2年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等委託事業(関東地域におけるカーボンニュートラルに向けた構想策定調査)最終報告書
報告書概要
この報告は、関東地域におけるカーボンニュートラルの取組推進に関する調査研究について書かれた報告書である。2050年カーボンニュートラル実現に向けて、世界の投資の約3分の1がESG投資に向かう中、日本においても菅首相の2050年カーボンニュートラル宣言以降、民間企業の脱炭素化への動きが活発化している背景がある。
エネルギー転換は第2波を迎え、中央政府主導から地方自治体やグローバル大手企業が主体となる流れへと変化している。EUでは炭素価値が2030年に40〜121ポンド/tCO2eまで上昇する見通しであり、化石由来事業の資産価値下落と脱炭素事業の価値上昇が予想される。
本事業では、茨城県から静岡県までの1都10県を対象として、高いポテンシャルを有する地域を調査選定し、再生可能エネルギー、水素エネルギー、メタネーション等の先導プロジェクトを組成することを目的としている。国内外のカーボンフリー社会実証に関する先進事例調査とポテンシャル調査を実施し、それらの分析結果を踏まえてカーボンニュートラル事業モデルの仮説やビジョン及びアクションプランを策定している。
新潟を対象とした具体的な展開として、新潟東港カーボンニュートラルポート開発構想が提示されている。この構想では、脱炭素燃料製造・供給機能、脱炭素素材・燃料製造機能、脱炭素資源輸入・受入基盤などの統合型システム基盤の整備が計画されている。事業展開ロードマップでは短期から超長期にわたる段階的な取組が示され、脱炭素燃料・素材への転換、脱炭素電源への転換投資誘発、脱炭素エネルギー供給新サービス開発の3つの方向性で進めることとしている。