令和2年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(中小水力に関する海外動向把握等調査)報告書

掲載日: 2022年4月8日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー課
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報告書概要

この報告は、中小水力発電における海外動向把握および国内外の比較分析について書かれた報告書である。三菱総合研究所が資源エネルギー庁からの委託により実施した調査であり、中小水力発電の競争電源化と地域電源としての活用促進を目的とした包括的な調査研究となっている。

調査対象国はアメリカ、ドイツ、イタリア、オーストリア、チェコの5か国であり、各国の製造メーカー、事業者、業界団体、公的機関など計13件への詳細ヒアリングを実施した。海外動向調査では、中小水力発電の現況、コスト動向、費用低減の取組み、技術開発・研究・専門人材育成、地域活用事例について文献調査およびヒアリング調査を通じて整理を行った。

米国では水力発電の設備容量が102.7GWに達し、近年は非発電ダム利用や既設水路式発電への増設が中心となっている。州ごとのRPS制度が普及施策として機能しており、再生可能エネルギー証書による義務履行が主要な調達手法である。ドイツでは地域密着型の水力発電協会やシュタットベルケが事業運営を担い、イタリアでは大手製造メーカーを中心とした産業構造が形成されている。オーストリアでは小水力を中心とした製造メーカーや電力会社による開発が進んでおり、チェコでは民間事業者による中小水力の事業開発が展開されている。

技術開発分野では、デジタル化ツールやスマート発電管理システム、既存水力発電所での蓄電池ハイブリッド化、タンデム式揚水発電などの革新的技術が実証されている。また、標準モジュール型水力発電やコンテナ型発電ユニットなど、コスト削減と導入促進を目指した技術開発が各国で進められている。国内調査では、これらの海外動向を踏まえた導入支援策の検討と、FIT制度見直し後の支援策提案に向けた基礎資料を作成した。