令和2年度新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中小・小規模事業者向け経営相談体制強化事業(中小企業金融の将来の在り方等に関する調査)調査報告書

掲載日: 2022年4月8日
委託元: 経済産業省
担当課室: 中小企業庁事業環境部金融課
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和2年度新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中小・小規模事業者向け経営相談体制強化事業(中小企業金融の将来の在り方等に関する調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中小・小規模事業者向け経営相談体制強化事業における中小企業金融の将来の在り方等に関する調査について書かれた報告書である。

本調査は、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動への影響が大きい中、今後高まる中小企業の経営支援・資金支援ニーズに対して、地域金融機関、Fintech系企業、将来金融業に参入しうる事業者がどのような役割を果たすべきかを検討し、必要な政策措置を提案することを目的としている。調査では、我が国の中小企業が人口減少等に伴う国内需要の縮小、経営者の高齢化、人手不足の深刻化等の構造的課題に直面していることを背景として、コロナ禍により多くの中小企業の売上が減少し、政府系・民間金融機関による融資を受けたことで負債が増加している現状を踏まえている。

調査は2020年12月から2021年3月に実施され、全国銀行協会に加盟する地方銀行及び第二地方銀行101行の財務状況等のIR情報からの定量的分析と、地域金融機関へのヒアリング調査による定性分析を組み合わせて行われた。分析結果として、地域金融機関のコア業務粗利益は全体平均で2.95%減少しており、継続した超低金利環境での貸出金利回り低下を有価証券運用や投信販売等の役務ビジネスで補おうとしているが、特に上中位規模では結果が伴っていない状況が確認された。

調査では中小企業の廃業、直接金融による支援、企業再生・事業承継・M&A支援、新たな資金調達手段の活用について詳細に分析している。その結果、足元の業績及び将来の見通しが芳しくない中小企業の廃業が進まない背景として、要管理債権となるリスクに対し地域金融機関の現場では有効な支援を実施できることに乏しい側面があることが判明した。また、直接金融による支援については道は拓かれたものの現状は積極的に活用されておらず、むしろ事業承継やM&A支援、事業再生支援等において事業パートナーと連携した前向きな動きが確認された。クラウドファンディングについては地域金融機関でも推進している施策となっており、地域内の知名度や信用力を背景とした有効な手段として評価されている一方、トランザクションレンディング等については撤退する動きも見られた。