令和2年度産業経済研究開発事業「ベンチャー・ファイナンスの多様化に係る調査」

掲載日: 2022年4月28日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局新規事業創造推進室
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報告書概要

この報告は、ベンチャー・ファイナンスの多様化に係る調査について書かれた報告書である。少子高齢化が進展する日本において、スタートアップ・新興企業のファイナンス支援を通じてイノベーション創出を促進し、産業構造転換を図る必要性が高まっている。米国を中心とした海外では、新興企業の資金調達環境が激変しており、クリティカルマス到達・収益化までの必要資金が増大し、投資期間が長期化する傾向がある。また、プレIPOの期間が長期化し、株式公開・上場を志向しない新興企業も増加している。この背景には、ディープテックへの注目、公開株式市場の規制強化、潤沢なベンチャーキャピタル資金、プレIPO投資家層の拡大、プライマリー・セカンダリー取引の活発化などの要因がある。米国では、JOBS法3.0をはじめとする非上場株式市場活性化策が展開され、自衛力認定投資家の規制緩和、ファインダー区分の導入、登録免除募集制度の包括的改革が実施されている。また、ベンチャーデットやクラウドファンディングなどの資金調達手法の多様化、上場投資ファンドやクロスオーバー投資家の拡大、SPACやダイレクト・リスティングといった新たな上場形態の登場も見られる。日本では、これらの潮流を踏まえた環境整備が十分でない面があり、新興成長企業向け私募制度の整備、非上場株式取引プラットフォームの新規参入促進、株主コミュニティ制度の改善、株式投資型クラウドファンディングの拡充、特定投資家の定義見直し、クロスオーバー投資家の拡大、上場ファンドの活用と投資家選択肢拡大などの論点が提示されている。