令和2年度地域未来牽引企業イノベーション支援調査事業報告書
報告書概要
この報告は、令和2年度地域未来牽引企業イノベーション支援調査事業について書かれた報告書である。東北地域が東日本大震災から10年を経て新型コロナウイルスの影響により経済回復に歯止めがかかる中、地域の自律的発展に向けて地域未来牽引企業等のイノベーション創出支援のあり方を再検証した実践形式の調査である。東北大学の藤本雅彦教授をアドバイザーに迎え、シュンペーターのイノベーション理論に基づく5つの要素を参考に、特に人口減少とデジタル化の遅れという東北地域の課題に対応するため「人材」と「デジタル化・DX」をテーマとした調査を実施した。右腕人材育成プログラムでは全7回の講座を通じて30社程度の地域未来牽引企業を対象に経営戦略、マーケティング、組織マネジメント、リーダーシップ等について実践的な学習を行った。テーマ別分科会ではデジタル化・DXと新しい人材活用をテーマに3回の交流会を開催し、参加企業間のネットワーク形成を図った。調査結果から浮き彫りになった課題として、経営者や右腕人材が学習できる場の必要性、首都圏等の専門人材活用の周知不足、デジタル化・DX知識の浸透不足が挙げられた。政策提言として、経営者・右腕人材向けプログラムの定期開催、外部人材活用支援制度の創設、デジタル化・DXセミナーの開催と事例集作成、地域内企業間交流の創出を提案している。これらの取組により東北地域の中小企業・小規模事業者のイノベーション創出を促進し、地域経済の持続的発展を目指すものである。
