令和2年度北海道西担振地域におけるスマートモビリティの実証実験及び事業性分析等事業事業実施報告書

掲載日: 2022年4月28日
委託元: 経済産業省
担当課室: 北海道経済産業局地域経済部製造・情報産業課
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報告書概要

この報告は、北海道西胆振地域における高齢化と人口減少による移動課題解決を目的としたスマートモビリティサービスの実証実験について書かれた報告書である。室蘭市を中心とする同地域では、人口がピーク時の18万人から8.2万人へ半減し、高齢化率が37.7%に達している状況である。地域住民は買物や通院の移動手段として知人の車への同乗に依存し、公共交通の利用者数は減少傾向にある。バス路線のカバー率は市内の半数弱にとどまり、タクシー登録台数もピーク時の274台から137台へと減少している。

実証実験では三つの異なる対象層に向けたMaaSサービスを実施した。高齢者向けでは市立室蘭総合病院との連携による診療予約と連動したタクシー送迎サービス、買い物弱者向けではスーパーとの協力による買い物送迎サービス、学生向けでは室蘭工業大学生を対象とした相乗りマッチングアプリを活用したタクシー利用サービスを展開した。各実証では参加者の満足度は高く、特に高齢者層からは継続利用への強い意向が示された。

市民アンケート調査では2,400名を対象として実施し、高齢者の移動ニーズと交通サービスへの要望を把握した。その結果、タクシー相乗りサービスへの関心は一定程度存在するものの、料金負担や利用方法への懸念も明らかになった。事業性分析では、タクシー事業者、サービス事業者、利用者、行政それぞれにとってのメリットを検証し、持続可能なビジネスモデルの構築可能性を示した。

今後の展開として、室蘭都市圏の3市3町による広域連携の重要性を指摘し、既存の路線バス最適化と新たなモビリティサービスの組み合わせによる総合的な交通体系の構築を提案している。また、観光資源豊富な同地域において、生活交通の充実が観光振興にも寄与する可能性を示唆している。