令和2年度取引条件改善事業(型管理(代金支払・保管・廃棄等)に関する調査分析)報告書
報告書概要
この報告は、令和2年度に実施された取引条件改善事業における型管理に関する調査分析について書かれた報告書である。経済産業省が平成28年に公表した「未来志向型の取引慣行に向けて(世耕プラン)」に基づき、親事業者と下請事業者間の適正取引推進を目的として、型取引の適正化に関する課題の調査と対処方針の検討が行われた。背景には、下請代金支払遅延等防止法の運用基準改正や「未来志向型・型管理に向けたアクションプラン」の策定があるものの、型代金の分割払いに伴う資金繰り負担等の新たな課題が明らかとなり、改善が道半ばの状況であることが確認されていた。調査では自動車部品メーカー2社、機械部品メーカー2社、家電部品メーカー1社の計5社をモデル事業者として選定し、インタビューを通じて具体的な課題と対処方針を検討した。主要な論点として、不要型の廃棄における顧客企業の品番整理不備や部品共通化情報の不十分さ、型保管料支払における認識の希薄さや相場の不明確さ、量産終了時期判断の困難さ、型代金支払における下請法に留まらない早期支払の必要性などが挙げられた。各社の具体的課題として、A社では顧客と自社双方の品番整理不備により廃番通知が遅延し、B社でも顧客側の共通化情報整理不足が問題となっていた。C社では製品のカタログ販売特性により量産終了時期の判断が困難であり、D社では複数の型台帳の連携不足、E社では事業規模の制約から保管場所確保が困難な状況が確認された。これらの課題に対し、情報整理の推進、保管料支払体制の整備、台帳システムの統合化、型の返却・貸与方式への変更等の対処方針が検討され、サプライチェーン全体での競争力強化に向けた具体的な改善策が提示された。
