令和2年度原子力の利用状況等に関する調査(原子力分野における国際協力枠組み等に関する調査)報告書

掲載日: 2022年4月28日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和2年度原子力の利用状況等に関する調査(原子力分野における国際協力枠組み等に関する調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、原子力分野における国際協力枠組み等について書かれた報告書である。経済産業省から一般財団法人日本エネルギー経済研究所が受託して実施した調査の結果をまとめたものとなっている。

第1章では多国間協力枠組みとして国際原子力エネルギー協力フレームワーク(IFNEC)の動向を詳しく分析している。IFNECは2006年にアメリカのブッシュ大統領が提案したGNEPを起源とし、現在34ヵ国1機関がオブザーバー国として31ヵ国、オブザーバー非政府国際機関として4機関が参加している。組織構造は執行委員会の下に運営グループがあり、その傘下に基盤整備WG、核燃料サービスWG、原子力供給国・需要国協力グループの三つのワーキンググループが設置されている。

核燃料サービスWGでは信頼性のある包括的燃料サービス(CFS)の確立を目指しており、特に多国間処分場(MNR)の実現可能性について活発な議論が展開されている。放射性廃棄物の深ボーリング孔処分(DBD)に関する技術的検討も進められており、従来の地層処分よりも深い2000-5000メートルの深度での処分により、より確実な隔離が可能であることが示されている。スロベニアやクロアチアなどの小規模原子力利用国では、共同処分場の活用や長期貯蔵の延長による経済的メリットの検討が行われている。

第2章では二国間協力として日米ラウンドテーブルの活動状況を詳述している。2020年度は新型コロナウィルスの影響ですべての会合がオンライン形式となったが、アメリカ大統領選挙の年であったため、バイデン政権の原子力政策についても重点的に議論された。バイデン政権下では気候変動対策における原子力の重要性が認識され、2050年カーボンニュートラル実現に向けた技術中立的なエネルギー効率・クリーン電力基準の設定が表明されている。

日米協力では小型モジュール炉(SMR)や水素技術、高温ガス炉などの次世代技術開発が重要な協力分野として位置づけられている。また、アジア太平洋地域のエネルギー安全保障の観点から、中国やロシアの原子力技術に対抗する日米連携の必要性も強調されている。海上輸送の安全確保や供給チェーンの多角化による依存度低減も重要な課題として認識されている。