令和2年度地域におけるキャッシュレス導入支援事業(災害時のキャッシュレス決済実証・調査事業)事業報告書
報告書概要
この報告は、災害時におけるキャッシュレス決済の運用継続について書かれた報告書である。
近年のキャッシュレス化推進において、災害時に停電や通信障害が発生した際でも安全・安心にキャッシュレス決済を利用できる環境整備が重要な課題となっている。過去の災害では現金とともにキャッシュレス決済を使用したいとの要望があったほか、新型コロナウイルス感染対策の観点からも非接触決済の必要性が高まっている。しかし消費者の間では、災害時にキャッシュレス決済が利用できなくなることへの不安が存在し、普及の阻害要因となっている。
本事業では、学識者、被災自治体、業界団体、決済事業者、端末メーカー、小売企業、消費者団体等で構成される検討会を開催し、災害時のキャッシュレス決済運用方法について検討を実施した。主な検討対象はクレジットカード決済とコード決済であり、それぞれについて災害時の特別運用を策定した。クレジットカード決済では紙伝票による運用、コード決済では静的MPMを活用した運用を中心に検討され、実証実験を通じて実現可能性が検証された。
検討の結果、クレジットカード決済については紙伝票による災害時運用が可能であることが確認されたが、損失補填スキームの詳細や参加企業の拡大、業務運用の体制構築等について継続検討が必要である。コード決済については、CPMを利用する大手小売チェーンを対象として静的MPMによる災害時運用の適用を進める方針が示された。また、消費者と店舗への周知方法として災害時キャッシュレスステッカーの作成や、申請店舗情報の公表等が検討された。今後は業界関係者を中心とした詳細検討の継続と、より多くの事業者への災害時運用適用拡大が課題として残されている。
