令和2年度戦略的基盤技術高度化支援事業に係る執行管理業務におけるアウトソーシングに関する調査報告書概要
報告書概要
この報告は、近畿経済産業局が実施する戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)における執行管理業務のアウトソーシングの在り方について調査した報告書である。
近畿経済産業局では平成18年度から中小企業者による製造業の国際競争力強化と新事業創出を図るため、中小ものづくり高度化法に基づく認定を受けた中小企業者等の研究開発から販路開拓までの取組をサポイン事業により支援している。累計約500件、年間約80件の事業執行を行っており、より効率的な事業管理のため執行管理業務のアウトソーシングについて検討を行った。
調査では令和2年10月から令和3年3月まで、近畿局が指定した3件の補助事業について、株式会社ブレインワークスが執行管理業務を実施した。具体的には事前準備、補助事業者等からの月次報告の確認、中間検査・確定前検査の実施、問合せ対応を行い、さらに補助事業者へのヒアリングを実施した。
執行管理業務では、補助事業者から毎月15日に提出される経費発生状況調書や月別項目別支払明細表等の執行管理関係資料について、適切に補助対象経費が計上されているか確認を行った。中間検査と確定前検査では現地に赴き、経理処理手順や管理体制の確認、執行管理関係資料と帳票類の突き合わせを実施した。
補助事業者へのヒアリングでは、アウトソーシングによる弊害は特段ないとの回答を得た。ただし執行管理関係資料の確認は税理士等の有資格者や補助事業に詳しい企業が実施することが望ましく、一定の業務水準が重要であるとの意見があった。また情報セキュリティの観点から、アウトソーシング事業者の立場の明確化や送付方法の標準化が必要との課題も挙げられた。
適切なアウトソーシングのための改善案として、月次報告において従来の資料に加えて帳票類も提出し、毎月中間検査等と同等の書面検査を行うことにより、現地での中間検査を書面検査に切り替えることが提案された。これにより近畿局は間接補助事業者への現地検査にリソースを振り替え、より効率的な執行管理業務が可能となる。
アウトソーシング事業者の業務水準担保については、月次報告チェックリストや業務フロー図の活用、担当者の研修受講や有資格者による指導体制の構築が必要であるとされた。また補助事業者の管理水準向上も円滑なアウトソーシングのために重要な要素であり、効果的な取組のモデルケース紹介が推奨された。
調査結果として、執行管理業務のアウトソーシングは可能であり、月次報告での帳票類確認により現地検査から書面検査への切替えも可能であることが確認された。ただし情報セキュリティへの配慮、アウトソーシング事業者の業務水準担保、補助事業者の管理能力向上が重要であると結論づけられた。
