令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書

掲載日: 2022年5月19日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務情報政策局情報経済課
委託事業者: 株式会社大和総研
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報告書概要

この報告は、令和2年度に経済産業省が実施した電子商取引市場調査について書かれた報告書である。

2020年の日本のBtoC-EC市場は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を強く受け、物販系分野では巣ごもり消費により前年比21.71%増の12兆2,333億円へと大幅に成長した。EC化率も8.08%に上昇し、2013年からの7年間で市場規模は約2倍に拡大した。一方でサービス系分野は旅行サービスの約6割減が響き36.05%減の4兆5,832億円となり、デジタル系分野は14.90%増の2兆4,614億円であった。3分野合計では19兆2,779億円となり、前年から830億円の減少となった。

CtoC-EC市場は12.5%増の1兆9,586億円、BtoB-EC市場は5.1%減の334兆9,106億円となった。BtoB分野のEC化率は33.5%に達している。越境EC市場では、世界市場の拡大傾向が続く中、日本から中国向けが1兆9,499億円で17.8%の高成長を記録した。中国のEC市場ではミニプログラムやインフルエンサー活用が進展し、米国ではDtoC(Direct to Consumer)モデルが拡大している。

越境ECの検討ポイントとして、直送型と相手国送付型の事業モデル選択における在庫リスクと配送リードタイムのバランス、実店舗とのカニバリゼーション回避、相手国の製品認証制度への対応、競合商品との比較に基づく適切な価格設定、関係者間の責任範囲明確化、販売者定義の整理などが重要である。世界の越境EC市場は年30%成長で拡大し、2026年に4兆8,200億USドルに達すると予測されており、日本企業にとって中国・米国のみならずアセアン諸国等への多角的な市場展開が期待される。