令和2年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業ラオス国・国際貨物車両通行管理に係るTSP事業実施可能性調査事業概略報告書(英語版)
報告書概要
この報告は、大メコン圏(GMS)諸国における国際貨物トラックの情報管理プラットフォーム構築について書かれた実現可能性調査報告書である。
大メコン圏では港湾整備、道路網発達、ASEAN自由貿易協定による関税撤廃により国際貨物の陸上輸送が増加している。第二メコン友好橋の完成により、タイ、ラオス、ベトナムを結ぶ東西回廊での陸上輸送が実現し、日本の運送業者も参入している。しかし、異なる通関システム、手続きの複雑さ、大型貨物車両による道路損傷、過積載問題など多くの課題が存在している。
この調査は、ICT技術を活用した情報共有プラットフォーム構築により、通関手続きの効率化、輸送時間短縮、過積載制御の改善を目指している。プラットフォームは三段階で開発され、第一段階では通関支援、保税区域出入管理、交通情報共有、車両監視を実現する。第二段階では緊急時輸送情報共有、越境交通管理、過積載制御支援を追加し、第三段階では蓄積データを活用した物流計画支援や社会のデジタル変革を促進する。
調査では、ラオス、ベトナム、タイの運送業者および政府機関への聞き取り調査、バンコク・ハノイ間モデルルートの現地調査を実施し、通関手続き、国境通過、保税区域管理の現状を把握した。システム設計では、ブロックチェーン技術を活用したデータ共有基盤を提案し、各組織のアクセス制御と適切なサービス提供が可能であることを確認した。
プラットフォームは、運送業者からのデータ入力、荷主や取締機関による利用、Trust Service Provider運営会社による運営という枠組みで構築される。コスト・収益分析により事業の収益性も確認されており、関係省庁との協議を通じて実現可能性が検討されている。
