令和2年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業 ラオス国・国際貨物車両通行管理に係るTSP事業実施可能性調査事業報告書
報告書概要
この報告は、ラオス国における国際貨物車両通行管理に係るTSP事業実施可能性調査について書かれた報告書である。
GMS地域では、ASEAN自由貿易協定による関税撤廃や道路網整備に伴い国際貨物の陸上輸送が増加している。特にタイ・ラオス・ベトナムを結ぶ東西回廊では、2006年の第2メコン友好橋完成によりバンコク・ハノイ間の陸上輸送が実現し、日系輸送業者も参入している。しかし、各国で異なる通関システムが導入されており、Single Windowの実現には時間を要する状況にある。同時に、GMS内陸部では大型貨物車両の過積載が多発し、路面や橋梁に深刻な損傷を与えている。ラオスでは効果的な過積載取締り手法が確立されておらず、特に隣国からの国際貨物車両による過積載が大きな問題となっている。
本事業の目的は、ICT技術を活用した情報共有プラットフォームを構築し、国際貨物車両の通関効率化、輸送時間ロス削減、災害時の状況即応性向上、越境通行経路管理・過積載取締りの効率化を実現することである。提案ビジネスは3段階で展開され、Stage-1では輸送業者間でのデータ共有による効率性向上、Stage-2では関係機関との連携による状況即応性・持続可能性向上、Stage-3では蓄積データを活用した社会のデジタル変革促進を目指している。具体的なサービスとして、効率的な通関申請手続き支援、保税地域入退場管理支援、輸送路上事故等発生状況共有、貨物車両走行状況把握、緊急時の貨物輸送情報共有、越境通行経路管理支援、過積載取締り支援、物流関連計画のための情報共有の8つを提案している。事業実施にあたっては、日本側企業とラオス政府の共同出資による事業会社設立を想定し、技術協力プロジェクトを通じて法整備や官民連携体制の構築を進める計画である。
