令和2年度ビッグデータを活用した新指標開発事業(短期経済動向把握)報告書

掲載日: 2022年5月19日
委託元: 経済産業省
担当課室: 調査統計グループ調査分析支援室
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報告書概要

この報告は、経済産業省が実施したビッグデータを活用した新指標開発事業について書かれた報告書である。本事業は民間企業が保有するPOS等ビッグデータを活用し、個人消費把握を目的とした新たな調査手法の検証および新指標の開発を行うものである。主要な目的として報告者負担の軽減、統計調査業務の効率化、公表の早期化、さらに景気動向把握の向上に資する把握内容の詳細化等の実現可能性の精査が挙げられている。

事業は三つの主要項目から構成されている。第一にビッグデータを活用した新指標開発の実施であり、これには家計簿アプリやモバイルPOSレジデータ等の収集・加工、新指標開発、BigData-STATSダッシュボードの改善が含まれる。第二に検討会議の設置・運営及び包括的調査等の実施、第三に成果のとりまとめ・普及活動である。

実証事業においては、スーパーマーケットとドラッグストアを対象としてPOSデータを活用した新たな小売販売額指標の開発が行われた。スーパーマーケットにおいては商業動態統計との相関係数が0.987と高い値を示し、既存の指標と比較して向上が確認された。ドラッグストアでは相関係数0.933を達成し、現行指標との比較でも改善が見られた。

調査票への組替集計の試行では、POSデータと商業動態統計調査票情報との比較が実施された。スーパーマーケットでは商品分類別の金額構成比の差が最大0.15%未満、実数の差が最大3%未満という高い精度が確認された。ドラッグストアでは調剤医薬品を除く分類で実数の差が最大6%程度となったが、増減動向は一定程度合致しており、再現可能性の高さが示された。

海外における公的統計へのビッグデータ活用動向調査では、主要な活用用途としてEBPMへの活用および指数等への活用が大半を占めることが判明した。これらの事例分析を通じて、政府に期待される対応として体制整備と政策目的と活用するビッグデータの対応関係の明確化が重要であることが示された。