令和2年度補正産業保安高度化推進事業(次期安全高度化計画及びスマート保安技術に係る調査研究)報告書

掲載日: 2022年5月19日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループガス安全室
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令和2年度補正産業保安高度化推進事業(次期安全高度化計画及びスマート保安技術に係る調査研究)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、経済産業省が2030年の死亡事故ゼロを目標とした次期安全高度化計画策定に向けて実施したガス分野におけるスマート保安技術の調査研究について書かれた報告書である。本調査では、国内外のスマート保安技術の実態調査として、スマートメーター関連技術、広域漏えい検査技術、その他スマート保安関連技術の3つの分野について包括的な分析を行った。

スマートメーター関連では、国内における東京ガス・大阪ガス・東邦ガスによる共同開発や日本瓦斯の「スペース蛍」等の事例を調査し、主要な導入目的としてガス漏えい時・地震時の遠隔閉栓・開栓機能、災害時の高密度・精緻な被害推定、漏えい検査の高頻度化による保安水準向上等を特定した。海外動向では、EU指令に基づく各国の法規制フレームワークや導入状況について詳細に分析し、2020年までに消費者の80%以上への実装を目標とする欧州の取組を明らかにした。

広域漏えい検査分野では、国内で用いられているセンシング技術と米国・カナダで活用されている先進的な検査技術を比較調査し、各国の保安規制体系との関連性を分析した。その他スマート保安関連では、インフラ事業者におけるデジタル技術活用事例やCBM(Condition Based Maintenance)の具体的実践例を整理し、プラント保安分野でのAI導入促進やドローン活用による目視検査の高度化等の先進事例を検証した。

保安規制上の課題として、技術開発コストの発生、高機能化による価格上昇、通信費用負担等が挙げられ、中小事業者でも導入可能な環境整備の必要性が指摘された。最終的に、スマート保安官民協議会ガス安全部会での議論を経て、都市ガス・LPガス・コミュニティーガス各分野の現況を踏まえたスマート保安アクションプランを策定し、今後の実行に向けた具体的方向性を提示している。