令和2年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(デジタル市場に係るルール整備の在り方に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和2年度におけるデータ駆動型社会に関する基盤整備、特にデジタル市場のルール整備について調査した報告書である。本調査では、米国GAFA企業による市場独占問題や欧米諸国のデジタルプラットフォーム規制動向を包括的に分析している。
米国下院公聴会において、Google、Amazon、Facebook、Appleの各社が市場における独占的地位を問われた。Googleは世界の検索市場の90%を占め、280億ドルの技術投資により競争優位を維持している一方、プライバシー保護を理由とした自社データ囲い込みや競合監視が指摘された。各社は流通制約、競合企業監視、技術制度濫用により事業拡大を図っているとされる。
スマートフォン向けアプリストア市場では、AppleとGoogleによる寡占状態が深刻な問題となっている。両社は30%の手数料を課し、アプリ配信ルールを独占的に決定する権限を持つ。Epic Gamesは、iOS市場における単独性とAppleの反競争的契約制約を問題視し、アプリ開発者の選択肢が実質的に両社に限定されている現状を批判している。
オーストラリア競争消費者委員会の調査では、各ステークホルダーの見解が明らかになった。Appleはアプリ審査の84%が手数料対象外であり、ユーザーデータの収益化を行わないと主張している。Googleは巨額先行投資の必要性とAndroidのオープン性を強調し、複数アプリストア間の競争が存在すると反論した。しかし、アプリ開発者側からは実質的な選択肢の欠如や不公平なコミッション構造、恣意的なレビュー運用が問題視されている。
European Commission、英国政府、米国司法省等による規制強化の動きが活発化しており、デジタル市場法やデジタルサービス法の制定、P2B規則のランキング透明性要件等、包括的な規制枠組みが構築されつつある。各国はプラットフォーム企業の市場支配力濫用を防ぐため、透明性向上と公正競争確保に向けた法整備を進めている。
