令和2年度新エネルギー等の保安規制高度化事業委託調査(火力発電所の遠隔監視に向けた要件等検討事業)報告書

掲載日: 2022年5月19日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループ 電力安全課
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令和2年度新エネルギー等の保安規制高度化事業委託調査(火力発電所の遠隔監視に向けた要件等検討事業)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、火力発電所の遠隔監視に向けた要件等について検討された報告書である。経済産業省商務情報政策局の委託を受け、汽力発電所および定格出力1万kW以上のガスタービン発電所における常時監視制御の遠隔化実現に向けた規制見直しが検討された。

現行の電気設備技術基準省令第46条では、大規模火力発電所において技術員による発電所構内での常時監視が義務付けられているが、IoT等の新技術活用により遠隔監視でも現在以上の保安確保が可能であれば、保守管理の高度化促進が期待される。検討では、昨年度事業の成果を踏まえ、監視と制御の在り方を整理し、遠隔常時監視制御導入のための追加要件が評価された。

遠隔常時監視制御方式は、監視または制御の少なくとも一方が遠隔化された方式として定義され、9つの実施パターンが分類された。リスク評価では、監視制御の遠隔化により構造的に生じる変化と、内的・外的ハザードに曝された際のリスクという2つの観点から検証ポイントが整理された。特に通信システム異常対策から技術員要件まで網羅的な検討が行われ、サイバーセキュリティ対策も重要な留意点として位置づけられた。

検討結果として、汽力及び大型ガスタービン発電所における遠隔監視導入の手引きが作成され、事業者が遠隔監視制御導入時に参考とする留意点が整理された。有識者による検討委員会では、遠隔化の目的は無人化ではなく防災対応要員は現場に残ること、監視と制御の別場所実施も適切な対応により許容可能であることが確認された。今後の課題として、法令等規定類の見直し整備および業界における民間自主規格整備が期待されている。