令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(新型コロナウィルスの影響を踏まえた我が国産業のサプライチェーン強靭化に係る調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、日本における重要品目の供給リスクを評価するための分析手法について書かれた報告書である。報告書では、各品目の供給安定性を評価するため、一国依存度と粗付加価値率という二つの指標を用いた検討手法を提示している。一国依存度については、当該品目の国内使用量に占める最大輸入元からの輸入割合を算出し、財務省貿易統計をベースに総輸入額と国内生産額から計算式を導出している。この際、生産動態統計や工業統計の品目別統計表から国内生産額を確認し、生活用品については国内市場規模調査による補完と妥当性チェックを実施している。粗付加価値率については、当該品目生産時における付加価値獲得比率を評価するため、工業統計の産業別統計表をベースに粗付加価値額を生産額で除した値を算出している。この数値についてはエキスパートヒアリングによる補完を行い、中小企業庁の業種別主要計数表や個々企業のIR情報から算定した業界粗利率を参考として妥当性を検証している。ただし、品目レベルでの統計データが存在しない場合は、大カテゴリのデータから推定シェアに基づく推算や、粗利データを用いた補正推定を実施している。これらの分析は2017年の統計データに基づいて実施されており、データの精度に関する留意点として、統計分類の制約による推定値の使用や、異なる概念である粗利データを参考とした補正の実施が挙げられている。