令和2年度産業経済研究委託事業 経済産業政策・第四次産業革命関係調査事業費(企業の組織再編成の実態等に関する調査)) 経済産業省委託調査報告書

掲載日: 2022年5月19日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局産業組織課
委託事業者: PwC税理士法人
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令和2年度産業経済研究委託事業 経済産業政策・第四次産業革命関係調査事業費(企業の組織再編成の実態等に関する調査)) 経済産業省委託調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、我が国の組織再編成に関する税制の課題および諸外国におけるスピンオフ制度について書かれた報告書である。本調査は令和二年度に経済産業省が委託し、PwC税理士法人が実施したものであり、企業の組織再編成の実態と税制上の課題を明らかにし、特にスピンオフ制度の促進に向けた環境整備を目的としている。調査は文献調査を中心とし、我が国の組織再編税制の課題整理、米国・英国・ドイツの制度調査、スピンオフ制度の理論的整理、米国のスピンオフ制度調査の四つの柱で構成されている。我が国の組織再編税制は平成十二年に創設され、「支配の継続」「投資の継続」を基本理念としてグループ内再編を中心とした構成となっているが、近年はグループ外企業のM&Aが中心となっており、社会環境の変化に税制が対応できていないという課題が指摘されている。諸外国では組織再編成の実施前に支配関係があることを必ずしも要求しておらず、米国では議決権・株式価値総額の八十パーセント以上による連結納税制度、英国では普通株式の七十五パーセント以上によるグループリリーフ制度、ドイツでは議決権の五十パーセント超によるオルガンシャフト制度がそれぞれ運用されている。我が国のスピンオフ制度は平成二十九年度税制改正で追加されたが、既存の「支配の継続」概念に沿った限定的なケースのみが対象となっており、活用が進んでいない状況にある。米国では株主重視の考え方からスピンオフが積極的に行われており、租税回避スキーム防止のため厳格な要件が設けられているものの、事業上の必要性を説明できれば部分的な株式継続保有も可能とするなど、日本制度と比べて柔軟性のある制度となっている。