令和2年度「高度な自動走行・MaaS等の社会実装に向けた研究開発・実証事業:専用空間における自動走行等を活用した端末交通システムの社会実装に向けた実証」成果報告書
報告書概要
この報告は、専用空間における自動走行等を活用した端末交通システムの社会実装に向けた実証について書かれた報告書である。経済産業省委託により産業技術総合研究所が実施した令和2年度の研究開発・実証事業の成果をまとめている。報告書は運輸部門におけるCO2削減と高度な自動走行の社会実装を目指し、2020年から2030年頃の実現が期待される専用空間での自動走行システムの技術開発と実証を通じて必要な技術や事業環境の整備を目的としている。主な実証地域として福井県永平寺町と沖縄県北谷町を選定し、低速自動運転車両による移動サービスの実現に取り組んだ。永平寺町では自転車歩行者専用道路を活用し、2020年12月から地域事業者による無人自動運転移動サービスの試験運行を開始、2021年3月には国内初のレベル3車両での本格運行を実現した。北谷町では道路交通法規上の道路に該当しない町有地の海沿い通路で遠隔型自動運転システムによる無人移動サービスを開始している。さらに中型自動運転バスについても茨城交通、京阪バス、神奈川中央交通、神姫バス、西日本鉄道の5つの事業者による実証実験を実施し、既存バス路線での人手不足解消とコスト削減の可能性を検証した。技術面では遠隔型自動運転システムでの複数台制御、レベル3からレベル4への発展、LiDAR計測の失陥検出機能、電磁誘導線検出範囲の拡大などの開発を進めた。人材育成については自動運転分野の第四次産業革命スキル習得講座認定制度への追加やASEAN諸国での寄付講座展開を検討している。今後の課題として、より限定されない走行環境での運用、事業性向上のための取組、多様なエリアや車両への対応、走行環境条件の類型化による効率的な横展開の推進が挙げられている。
