令和2年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査事業(世界のモビリティとエネルギー転換の将来分析調査)報告書

掲載日: 2022年5月19日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局自動車課
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報告書概要

この報告は、令和2年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査事業として実施された、世界のモビリティとエネルギー転換の将来分析について書かれた報告書である。

自動車産業をめぐる環境変化について包括的に分析している。CO2排出規制の強化により、各国でCAFE規制が厳格化され、内燃機関車のみでは達成困難なレベルに設定されることで電動化が加速している。欧州では2025年規制で68~78g/kmが検討され、今後はライフサイクルアセスメント(LCA)での規制拡大が議論されている。また、カリフォルニア州のZEV規制や中国のNEV規制といった販売義務制度により、電動車の普及が促進されている。さらに、フランス、ドイツ等では2030~2040年までに従来型自動車販売の禁止が発表され、中国では2035年を目途に新車販売の50%が新エネルギー車となる見通しが示されている。

技術面では、電気自動車の普及拡大により、2030年の電動車向け電力需要の増大が予測され、電池技術のシフトやレアメタル資源の需給逼迫が課題となっている。自動運転技術の進展も相まって、自動車産業の構造変化が進行している。内燃機関技術においても熱効率改善が継続され、再生可能エネルギーによる合成燃料や水素エネルギーの活用も検討されている。

利用形態の変化では、特に若年層を中心とした自動車所有意識の変化により、カーシェアリングやライドシェアリングが拡大している。MaaS(Mobility as a Service)の普及により、移動・輸送手段の統合が進み、マルチモーダルサービスが発展している。これらの変化により、世界の自動車販売台数への影響が予測されている。

産業構造の変化では、サプライチェーンのグローバル化が進む中、IT企業の参入やモビリティベンチャーの台頭により、従来のピラミッド構造に変化が生じている。電動化により新規参入が容易になることで、産業競争が激化している。リサイクル体制についても、軽量化材料や車載電装品の増加、特に蓄電池のリサイクルシステム構築が重要な課題となっている。