令和2年度二酸化炭素貯留適地調査事業委託業務報告書
報告書概要
この報告は、令和2年度における二酸化炭素貯留適地調査事業について書かれた報告書である。本事業は、脱炭素社会の実現に向けたCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)技術の確立を目的として、日本周辺海域における二酸化炭素の地下貯留に適した地点の調査研究を行ったものである。主要な調査対象地域として、酒田沖、京都-福井沖、日高沖、本荘沖、佐渡西方沖、鳥取沖、茨城沖北部が選定され、それぞれについて詳細な地質学的検討が実施された。調査手法としては、弾性波探査による地下構造の把握、地表地質調査による岩石試料の分析、海底地形の判読、地質解析と貯留適地評価が行われた。特に酒田沖では既存の2D探査データの再処理が実施され、京都-福井沖では新たな2D探査の実施とデータ処理が行われた。各地域において、貯留層としての砂岩の分布状況、遮蔽層としての泥岩の連続性、地質構造の安定性などが詳細に解析された。日高沖と京都-福井沖では地表地質調査として岩石試料の採取と分析が実施され、貯留岩と遮蔽岩の物性評価が行われた。さらに各地域の貯留可能量の算定、調査井の位置検討、本荘沖南部では貯留槽シミュレーションによる貯留可能性の検討も実施され、二酸化炭素地下貯留事業の実現可能性が総合的に評価された。