令和2年度固定価格買取制度等の効率的・安定的な運用のための業務(中部経済産業局の固定価格買取制度における事業計画実施状況等の円滑な遂行に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、中部経済産業局における固定価格買取制度(FIT制度)の効率的・安定的な運用に関する調査について書かれた報告書である。
FIT制度導入以降、再生可能エネルギーの導入量は大きく拡大したが、特に急速に拡大した太陽光発電において、安全面、景観、環境への影響等に対する地域の懸念により、トラブルが多発する状況となった。2017年4月施行の改正FIT法では、認定事業者に対して発電設備への標識及び柵塀等の設置を義務づけたが、経過措置期間後においても未設置や不適切な設置事例が多く報告されている。また、事業計画策定ガイドラインでは地域住民との適切なコミュニケーションが求められているものの、実際には地域住民との間でトラブルになっている案件も多い。
本調査では、社会全体でのトータルコスト削減、FIT制度における審査の迅速化、不適切事案の問題解決プロセス構築を目的として、実際の通報案件から現状把握を行い、担当課の継続した業務体制構築に資する改善策の提案・実現・調査を実施した。具体的には、「中部再エネ発電設備地域サポート窓口」を設置し、自治体や地域住民からの不適切事案情報を収集・対応したほか、東海地区自治体を対象とした関係会議の開催、東海3県・北陸2県へのアンケート調査、FIT関連業務の標準化に向けた調査及び資料作成を実施した。
2019年度末時点でFIT認定容量の約80%を太陽光発電が占めており、特に10~50kWの小規模太陽光が件数ベースで95%、容量ベースでも30~40%程度を占めている状況である。50kW以上では電気主任技術者の選任等、必要な基準や手続きが増えるため、50kW未満で抑えようとする傾向があり、通報案件の大半も10~50kWの小規模太陽光となっている。
