令和2年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(サービス産業の生産性指標等調査)報告書

掲載日: 2022年5月20日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループサービス政策課
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報告書概要

この報告は、サービス産業の生産性指標等調査について書かれた報告書である。

政府の成長戦略では、サービス産業の労働生産性伸び率を2020年までに2.0%とする目標が設定されたが、2018年時点で-0.03%にとどまり、目標達成が困難な状況にある。この背景を受け、2013年以降の労働生産性推移の要因分析、新たな生産性指標の検証、新しい指標の可能性について調査を実施した。

分析方法では、国民経済計算と法人企業統計の2つの統計データを使用し、労働生産性の変動を分母・分子の変動パターンから分析するとともに、資本装備率、資本回転率、付加価値率への3要因分解を行った。また、経済学理論に基づく成長会計による要因分析も実施した。対象業種は、卸売業、小売業、飲食サービス業、宿泊業、医療・福祉業、教育・学習支援業、娯楽業、生活関連サービス業である。

分析結果から、2013年以降のサービス産業全体の労働生産性停滞は、主として資本装備率の向上が不十分であることが原因であると判明した。全要素生産性については、労働生産性よりも指標として理解しにくく、政策的介入による向上も困難であるとの議論が研究会で行われた。新たな指標として、サービスの特性を考慮し、消費者余剰、顧客満足指数、U-indexが提案された。

政策的含意として、サービス産業全体の労働生産性向上には資本蓄積を促進する施策の検討が重要であることが示された。さらに、人材投資や経営者の生産性を意識した経営の重要性についても提起された。現行のKPIには、マクロ経済指標とサービス産業施策との関連性の不明確さ、多様な業種を単一指標で評価することの適切性、新型コロナウイルス感染症の影響を織り込んだ見直しの必要性といった課題が存在している。