令和2年度情報サービス産業力強化調査事業(デジタルトランスフォーメーションの加速による情報サービス産業の業界構造変革等に関する調査)成果報告書
報告書概要
この報告は、新型コロナウィルスの流行を背景としたアフターコロナ時代における情報サービス産業の業界構造変革とデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速に関する調査について書かれた報告書である。
経済産業省が2018年に発行したDXレポートから2年が経過し、デジタル変革への危機感を持つ国内企業は増加しているものの、DXの取り組みを始めている企業と何も取り組めていない企業との二極化が進んでいる状況が明らかになった。新型コロナウィルスの世界的流行により企業の事業環境が不安定化し、DXの推進が待ったなしの状況となる一方で、アフターコロナの世界における社会環境や事業環境を踏まえた具体的な取組みの方向性や優先度の再検討が必要となっている。
従来のIT産業がデジタル産業へと変化する中で、産業構造はピラミッド型からネットワーク型へ、顧客は発注者から消費者・個人へ、商流は資本関係・固定化から価値を中心としたつながりへと変化している。さらに、提供物は労働量から価値へ、収益の流れは元請けから下請けへの構造から価値の受け取り手から創出者への構造へと転換している。デジタル産業においては、生活者へのダイレクトタッチ、不確実性に対応した企業構造の確立、新技術に対応したエコシステムの形成、ITとOTを繋げることによる価値創出、リスクを取ったビジネスモデルへの切替、サービス化によるスケールアウト、社会課題への取組といった7つの変革の方向性への対応が求められている。あるべき業界構造は、業界や機能が入り組んだネットワーク構造であり、新興ベンチャーがネットワーク上で重要な価値創出プラットフォームとなる構造である。
