令和2年度中小企業実態調査事業(情報サービス産業の競争力強化に向けた業界構造及び政策動向等に関する調査)公表用調査報告書

掲載日: 2022年5月20日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務情報政策局情報産業課
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令和2年度中小企業実態調査事業(情報サービス産業の競争力強化に向けた業界構造及び政策動向等に関する調査)公表用調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、情報サービス産業の競争力強化に向けた業界構造及び政策動向等について書かれた報告書である。

令和2年度中小企業実態調査事業として野村総合研究所が実施したこの調査では、日本のIT産業のあるべき姿を短期・中長期と産業構造・IT人材の4象限で整理し、萌芽事例の調査を通じて現況把握と論点整理を行った。DXによる提供価値を「時間」「規模」「範囲」の3つに分類し、価値創造型企業の分析を売上高増加率とROAをもとに実施している。

SAP社のMission Control CenterやマッキンゼーのDigital Capability Centerなどの萌芽事例では、顧客との共創基盤を構築し、グローバルベストプラクティス化によるライセンス拡大を図る戦略が見られる。これらの企業は従来のウォータフォール型から脱却し、顧客企業内に専用施設を設けて継続的な共同作業を実現している。

しかし調査結果によると、顧客企業は新たな顧客価値創出やビジネスモデルの抜本的改革をDXに求めているが、ITベンダーに対しては単なる「技術屋」としての期待しか持っておらず、上流工程への理解やノウハウについては業界他社に期待を寄せている状況である。特にレガシーシステムがDX化の足かせとなっている現状において、ITベンダーがこれらの課題を解決する決定的な技術を提供できるかが重要な問題となっている。新型コロナウイルスの影響により、CIOは自社の基盤・インフラの脆弱性を痛感し、安全・安心を顧客体験よりも優先する価値観の変化を示している。