令和2年度経済産業政策・第四次産業革命関係調査事業(キャッシュレスの更なる推進のための環境整備に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備について書かれた報告書である。政府は2025年6月までにキャッシュレス決済比率を4割程度とする目標を掲げており、これまでキャッシュレス・ポイント還元事業などの施策を実施してきた。しかし中小店舗にとって加盟店手数料の負担が重く、長い売上入金サイクルがキャッシュレス決済受入れの障壁となっている現状が指摘されている。
報告書では、キャッシュレス決済に関わる店舗や決済事業者の観点を踏まえ、加盟店手数料の更なる引下げに向けた方策を検討することを目的としている。検討会は5回開催され、日本のキャッシュレス化の現状、ポイント還元事業の効果、クレジットカードや電子マネー・コード決済のコスト構造分析、ネットワーク利用料、端末費用、店舗の現金取扱いコスト等について議論された。
特にインターチェンジフィー(イシュアー手数料)について詳細な検討が行われ、委員からは海外との比較や透明性向上の必要性、段階的な対応の重要性が指摘された。アクワイアラーとイシュアーの利益構造を踏まえ、業界共通のコスト削減議論を深めることの有効性が確認されている。また、決済事業者の中小店舗向け開示ガイドライン策定や、キャッシュレス決済未導入事業者への情報提供サービス準備についても検討された。報告書は今後も継続的な状況把握と取組方針の議論が必要であると結論付けている。
