令和2年度中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業(専門家派遣関係調査及び事務処理等実施機関の運営事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和2年度中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業における専門家派遣関係調査について書かれた報告書である。本調査は派遣可能機関の専門家同行実態と中小企業事業者の利用状況を把握することを目的として実施された。調査方法は電話ヒアリングによる定性調査と郵送アンケートによる定量調査の2つから構成されている。同行率が低い25機関へのヒアリング調査では、人員不足が主要因として挙げられ、新型コロナウイルス感染症の影響により三密回避のため意図的に同行を控えた機関も存在した。また持続化給付金対応などの業務に職員が割かれ、同行まで手が回らない状況も明らかになった。事業者アンケート調査では981件の回答を得て、利用満足度は「満足」が68%、「やや満足」が25%と高い評価を示している。支援課題では販路拡大支援が最も多く、次いでIT活用支援となっている。IT導入については97%の事業者がスマートフォンを使用しているものの、PC利用は29%にとどまり、小規模事業者のITリテラシー向上が課題として浮き彫りになった。有料化に対しては否定的な意見が多く、特に小規模事業者への影響が懸念されている。システム面では操作の複雑さや事務処理負担の重さが指摘され、簡素化の要望が強い。総括として、コロナ禍の影響を受けながらも専門家派遣制度は高い満足度を維持しており、今後は同行率向上と事務負担軽減が重要な課題である。
