令和2年度コンテンツ海外展開促進事業(読書バリアフリー環境に向けた電子書籍市場の拡大等に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、読書バリアフリー環境に向けた電子書籍市場の拡大等に関する調査について書かれた報告書である。
経済産業省が令和2年度に実施した調査で、視覚障害者等の読書環境整備を推進する読書バリアフリー法の成立を受け、電子書籍市場の現状と課題を分析している。出版市場全体は長期間減少傾向にあったが、電子出版市場は2019年に3072億円と前年比23.9%増の急成長を続けており、全体の19.9%を占めるまでに拡大している。
調査は全国の出版社404社を対象としたアンケート調査を中心に実施され、138社から有効回答を得て34.6%の回答率となった。調査結果では、電子書籍の刊行状況について書籍の平均刊行点数は270点で、このうち電子書籍リフロー形式が78.9点、フィックス形式が46.1点、オーディオブックが5.3点となっている。従業員数1~9人の小規模出版社の54.5%が電子書籍を刊行していない状況が明らかになった。
読書バリアフリー法への対応では、視覚障害者等へのテキストデータ提供が求められているが、データ流出防止や作成費用負担などの課題が存在する。海外事例として米国のBookshareシステムとフランスのPLATONプラットフォームを調査し、両国ともセキュアな環境構築に予算を充当していることが判明した。米国では民間活動への助成により促進し、フランスでは国立図書館システムを活用して認可団体のみにアクセスを許可する方式を採用している。検討会では専門家による課題整理とロードマップ、アクションプランの策定を行い、電子書籍市場拡大と読書バリアフリー環境整備の両立を目指す具体的方策を提示している。
