令和2年度国内における温室効果ガス排出削減・吸収量認証制度の実施委託費(温室効果ガス排出削減のためのカーボンプライシング等の政策手法に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、世界各国における温室効果ガス排出削減のためのカーボンプライシング等の政策手法について調査・分析した報告書である。カーボンプライシングは、炭素排出に価格をつけることにより排出削減および低炭素技術への投資を促進する経済的手法であり、炭素税や排出量取引制度といった明示的カーボンプライシングと、エネルギー税や補助金などの暗示的カーボンプライシングに分類される。調査対象国は、EU、英国、ドイツ、フランス、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、スイス、米国、カナダ、ニュージーランド、豪州、韓国、中国である。炭素税は1990年代から欧州諸国を中心に導入が始まっており、各国の経済社会構造、エネルギー需給体制等の社会環境の違いにより制度設計は多様である。欧州では財源調達、所得再配分、経済安定化機能を実現するための税制改革の一環として導入され、税収は一般会計に繰入れられている。課税対象は北欧では産業界に減免措置を施しつつ幅広く課税し、英国では主に産業部門が対象となっている。排出量取引制度についても、EU ETSを中心に世界各地で導入が進んでいる。各国制度において環境面での政策目標と政治経済的影響を考慮した結果、様々な優遇・特例・免税措置が設けられており、理論的な効率性の実現が困難な状況となっている。また、企業独自のインターナルカーボンプライシングの導入事例についても調査が行われ、自社のCO₂排出に価格付けを行う活動が広がっている状況が報告されている。
