令和2年度国内における温室効果ガス排出削減・吸収量認証制度の実施委託費(環境負荷削減及び削減貢献量の見える化に関する調査事業)報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省が実施した温室効果ガス排出削減・吸収量認証制度に関する委託事業の結果をまとめた報告書である。
本事業は、パリ協定の実行期間開始を背景に、日本の産業界における環境負荷削減及び削減貢献量の見える化に関する国際的な動向調査と対応方針の検討を目的として実施された。主要な調査内容は、LCAの国際的な動向調査と対応方針の検討、およびGVCを通じた削減貢献の評価に関する動向調査と対応方針の検討の二つの柱から構成されている。
LCAの国際動向調査では、UNEPが主導するLCAデータベースの国際的なネットワークであるGLADの運営状況と今後の展望について調査を行った。GLADは2020年6月から正式運用を開始し、各国のLCAデータベースへの容易なアクセスを可能とするクラウドサービスとして位置付けられている。また、欧州委員会が推進する環境フットプリントに関する最新動向を把握し、2018年から2021年までの政策移行期間における活動状況を整理した。さらに、タイプⅢ環境ラベルに関する国際動向について、各国政府の政策との関係や、サステナブルファイナンス、サプライチェーンマネジメント等における活用動向の調査を実施した。
削減貢献の評価に関する調査では、低炭素社会実行計画における経済産業省所管41業種の削減貢献事例を対象に、定量化及び訴求方法の類型化を行った。業界団体や個別企業へのヒアリング、機関投資家や金融機関への意見交換を通じて、削減貢献量の情報開示のあり方について検討した。その結果、削減貢献の見える化を通じた産業界の取組強化策を提案し、我が国の産業界による地球規模での削減貢献の促進に資する情報を整理した。