令和2年度中小企業支援調査(製造業における外国人材受入れ支援事業)事業報告書
報告書概要
この報告は、製造業における外国人材受入れ支援について書かれた報告書である。経済産業省の委託事業として、令和2年度に実施された中小企業支援調査の結果をまとめている。深刻化する人手不足に対応するため、平成31年4月に改正入管法が施行され、新たな在留資格「特定技能」による外国人材の受入れが開始された背景を受けて実施された。経済産業省所管の製造3分野(素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業)において、特定技能外国人材の受入れを円滑に行うため、特に中小企業や小規模事業者に対する必要な支援と実態調査を行うことが目的とされた。事業内容として、中小企業向け外国人材の受入れ支援に関する調査と、製造分野特定技能1号評価試験の実施を通じた技能水準の調査の2つが実施された。前者では、ポータルサイト構築、相談窓口設置、セミナー開催、受入れ協議・連絡会運営などが行われた。後者では、試験問題作成、試験実施、受験料算出、技能水準把握が行われた。特に製造分野特定技能1号評価試験では、溶接を除く18業務区分と溶接の試験が実施された。試験結果の分析から、プリント配線板製造、電子機器組立て、電気機器組立て、プラスチック成形などの合格率が比較的高いことが判明した。合格者の傾向として、国内ではベトナム国籍で特定活動として従事している外国人材が多く、技能実習等の経験を経て特定技能で受け入れを希望する者が多数を占めた。海外では技能実習経験のある外国人材の受験が多く、製造業系のバックグラウンドを持つ者が大半であった。日本語能力については、国内試験合格者でも現在の試験は難しいと考える回答が多く、現地語版でも専門用語や文法で困難を感じる受験者が多いことが明らかになった。
