令和2年度国内における温室効果ガス排出削減・吸収量認証制度の実施委託費(着実な低炭素化・脱炭素化に向け、移行段階に必要な低炭素技術や革新的な脱炭素技術に対する資金環境の整備に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、カーボンニュートラル社会への移行を支援するトランジション・ファイナンスについて書かれた報告書である。トランジション・ファイナンスは、温室効果ガス排出産業が脱炭素化に向けて移行する取組を支援する資金調達手法として、世界的に重要性が高まっている。
日本では経済産業省が2020年3月に基本的な考え方を公表し、同年12月にはグリーン成長戦略を策定した。カナダではサステナブルファイナンス専門家パネルが報告書を公表し、タクソノミー策定を開始している。オーストラリアではサステナブルファイナンス・イニシアティブがロードマップを策定し、独自のタクソノミー制定を提言している。シンガポールとマレーシアでも、各国の実情に応じたアプローチが検討されている。
ICMA Climate Transition Finance Handbookでは、パリ協定との整合性を確保するため、トランジション戦略とガバナンス、環境マテリアリティ、科学的根拠に基づく戦略、実行の透明性の4つの要素について詳細な報告内容を推奨している。特に温室効果ガス排出目標については、スコープ1から3まで全てを対象とし、絶対値および原単位ベースでの目標設定が求められている。
CBIは2020年9月にホワイトペーパーを公表し、グリーンウォッシュを回避するための5つの原則を提示した。これには1.5℃目標との整合、科学的立証、オフセットの除外、技術的実現可能性の優先、誓約ではなく行動の重視が含まれている。
