令和2年度補正LNGバリューチェーンの脱炭素化等に向けたインド太平洋イニシアティブ形成事業(MRVと新資源コスト分析に関する調査事業)報告書

掲載日: 2023年5月16日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁資源・燃料部石油・天然ガス課
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報告書概要

この報告は、LNGバリューチェーンの脱炭素化におけるメタン排出削減対策と新資源コスト分析について書かれた報告書である。世界的にメタン排出量削減の取り組みが急速に進んでおり、特に欧州では2020年10月に策定されたEUメタン戦略に基づき、LNG関連セクターのMRV(測定・報告・認証)標準化が進められている。米国とEUが主導する2030年までに2020年比でメタン排出量を30%削減するGlobal Methane Pledge(GMP)には100カ国以上が参加し、日本も参加している。欧州委員会は2021年12月にガス法案パッケージを発表し、化石燃料部門のメタン排出削減を目指す規制として、フレアリング・ベンティング禁止、漏洩検知・修理義務、MRVの義務化を提案した。OGMP2.0は石油・ガス産業における包括的なメタン排出量測定・報告枠組みで、5段階のレベルに分けられ、直接測定による厳密な測定とゴールドスタンダードとされるレベル4または5の報告が推奨されている。日本においてもメタン排出管理の強化が求められており、JOGMEC がGHG・CIガイドラインの策定を進めている。新資源コスト分析では、LNG-CCS、LNG-H2、液化水素、LOHC、アンモニア水素の5つのサプライチェーンを比較検討し、技術進展を考慮した場合でもCCS付きLNGが最も経済的に有利であることが示された。水素キャリアサプライチェーンは長距離輸送に適し、将来的なグリーン水素への移行を見据えた先行投資としての価値があるとされている。これらの分析結果は、日本のエネルギーセキュリティ強化と国際協力における政策立案の基礎となることが期待されている。