令和2年度補正LNGバリューチェーンの脱炭素化等に向けたインド太平洋イニシアティブ形成事業(アジア・トランジション・ファイナンスに関する調査事業)成果報告書英語版

掲載日: 2023年9月1日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁長官官房国際課
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報告書概要

この報告は、アジアにおけるトランジション・ファイナンス(移行金融)の実用的なガイドライン策定について書かれた報告書である。アジア・トランジション・ファイナンス研究グループは、アジア及び世界の金融機関が中心となって設立された民間主導の組織であり、既存の国際基準や分類体系を補完する実用的な移行金融ガイドラインの策定を目的としている。

現在、移行金融の実施においては、異なる基準の存在、不明確な適格性要件、地域固有の参考資料の不足、限定的な事例実績という四つの主要な課題が存在している。これらの課題に対処するため、パリ協定に整合した脱炭素化計画と目標年を有し、国家技術ロードマップなど公認された情報源と整合した資金使途を持つプロジェクトや企業を移行金融の適格対象とする概念が提案されている。

適格な移行技術の概念では、技術の許容性は経路と結びついており時限性があることが強調されている。脱炭素化の段階が異なる国々には異なる種類の脱炭素化技術が必要であり、排出強度の高い国は初期段階の脱炭素化技術をより長期間使用できる一方、排出強度の低い国は部分的排出削減技術への転換を急ぐべきである。

政府や国際機関に対する支援要請として、ASEAN諸国向けのセクター別・国別脱炭素化経路と技術ロードマップの策定、公正で秩序ある移行の考慮、アジアにおける移行金融パイロットケースへの資金調達支援が求められている。これらの取り組みにより、アジアにおけるパリ協定整合的な公正で秩序ある移行を加速させる移行金融の重要な役割を果たすことが期待されている。