令和4年度現地進出支援強化事業 経済のグローバル化を踏まえた我が国の外国子会社合算税制のあり方等に係る調査事業 調査報告書
報告書概要
この報告は、経済のグローバル化を踏まえた日本の外国子会社合算税制(CFC税制)のあり方について調査した報告書である。日本経済は人口減少に伴う国内需要縮小により「貿易立国」から海外投資収益に立脚する「投資立国」化が進行している中、現行のCFC税制には租税回避防止の対象が不明確であり、企業のビジネス変化に即していない問題がある。本調査はEY税理士法人が実施し、日本、米国、ドイツ、フランスにおけるCFC税制の動向調査及び分析、並びに日本企業4社へのヒアリングを行った。調査結果として、各国のCFC税制における法人所得課税の範囲、納税義務者・課税標準・税率、外国子会社を利用した租税回避防止措置の概要が整理された。ドイツ及びフランスについてはEUの租税回避防止指令の制約を受けることから、当該指令の概要も調査対象とした。企業ヒアリングでは、外国関係会社の判定作業において定性的情報の取得に多大な時間を要すること、申告・監査期限が国により異なり必要書類の準備が困難であること、管理支配基準の定義が不明確で法的安定性を欠くこと、ホワイト国リストの導入要望等の課題が提起された。また、今後導入予定のGloBEルールとCFC税制の併存により事務負荷の倍増が懸念される声が聞かれ、制度の簡素化や納税者側の負荷軽減を考慮したシステム管理しやすい制度設計の必要性が指摘された。
