令和4年度規制改革推進のための国際連携事業(イノベーションの促進に資するAIガバナンスに関する国際的な動向の調査)GPAI(Global Partnership on AI)関連調査最終報告書
報告書概要
この報告は、イノベーションの促進に資するAIガバナンスに関する国際的な動向の調査について書かれた報告書である。主要な焦点は、3年目を迎えるGPAI(Global Partnership on AI)における国内外の詳細な動向をフォローし、国際的な議論への対応および実践的な活動の周知を図ることである。GPAIは人間中心の考え方に立ち、透明性や人権の尊重などの原則に基づいた「責任あるAI」の開発・利用を実現するために設立された官民国際連携組織であり、2022年11月時点でEUを含む29の国等が参加している。日本政府は運営委員会の議長国を務めており、4つのワーキンググループと1つのサブワーキンググループにおいて主要な活動が実施されている。責任あるAIワーキンググループでは、気候変動と生物多様性、ソーシャルメディアガバナンス、AI創薬、パンデミックレジリエンスの4つのプロジェクトが進められ、データガバナンスでは社会的利益のためのデータ共有とデータ正義に関する実践が検討された。仕事の未来では職業におけるAIオブザベイトリー開発や公平な仕事のためのAI原則が策定され、イノベーションと商業化では中小企業によるAI導入支援や知的財産保護に関する調査が実施された。2022年11月に日本で開催されたGPAIサミットでは21個のサイドイベントが実施され、各分野における具体的な成果や課題が共有された。今後の方向性として、海外でハードローの検討が進む中、イノベーションを阻害しないソフトローの活用に向けて、政府による標準化の議論との連携、国際的な規範の相互運用性確保、マルチステークホルダーアプローチの実質化・具体化が重要となることが示されている。
