令和4年度ヘルスケアサービス社会実装事業(民間PHRサービス等に関する調査)最終報告書
報告書概要
この報告書は、民間のPHRサービス等に関する調査について書かれた政府事業の最終報告書である。2023年3月にアクセンチュア株式会社によって作成され、我が国のPHR政策動向を踏まえて、民間PHRサービスの普及拡大において発生する課題への対応を目的とした民間PHR団体の設立支援を行ったものである。
報告書では、PHRサービス事業協会(仮称)の設立に向けた背景と取り組みが詳述されている。2007年頃からPHRに関する議論が始まったが、2015年以降にデータヘルス改革等の政策が始動し、PHR利活用の議論が急速に進展した状況が示されている。特に2019年より骨太の方針でPHRサービス推進が明示され、2023年度早期の事業者団体設立へと繋がった経緯が説明されている。
設立準備には15社が参画し、SOMPOホールディングス、エーザイ、KDDI、シミックホールディングスなどの大手企業が主導的役割を果たした。これらの企業は標準化、サービス品質、ビジョンという3つの分科会に分かれて検討を進め、2023年度早期の正式設立に向けた活動スケジュールを策定した。
調査部分では、PHRサービスの定義・枠組み、価値・メリットの理解醸成、データ標準化・ポータビリティ向上、ベネフィット・リスクの表示方法、医療機器該当基準といった重要課題について国内外の動向が整理されている。また、類似団体のルール作り事例、行政・医療界の実証事業事例、諸外国の第三者認証制度事例といった補足調査も実施されている。
最終的な提言として、PHRサービスにより実現する世界観の提示、PHRデータの標準化に向けた取り組み、分かりやすい業界ガイドラインの提示が主要テーマとして掲げられている。データポータビリティが実現されることで、利用者がその時々の用途に応じて異なるヘルスアプリにデータを転送し、即座にサービスメリットを享受できる世界観が描かれている。
